新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

腹痛診療9 お腹が硬くならない怖い腹痛

前回、強い腹痛である汎発性腹膜炎のお話をしましたが、腹痛の中にはお腹が硬くならないが、患者さんが間欠的に強い腹痛を訴える怖い腹痛が生じる病気があります。

その一つがイレウス(腸閉塞症)です。

この病気は腸が癒着のため捻れたり、何か原因となって腸管の内腔が狭くてなって通りが悪くなってしまう病態です。腸が完全に詰まると消化液が溜まり、口側の腸管が張ってきて、やがては嘔吐が見られます。また不完全な閉塞であっても捻れが強かったりすると激烈な腹痛を生じます。

このような場合、病状に応じて減圧の為のドレナージや解除の為の緊急手術が必要になります

そしてもう一つ怖い病気が腸管の虚血です。

その代表的な怖い病気が上腸間膜動脈閉塞症です。小腸に行く動脈が詰まってしまい腸管に血液が行かないので、放っておいたら、腸管が壊死をお越してしまいます。またこのような病気の場合、完全閉塞でない場合、症状が自然に緩和してしまうことがあるので、それもまた見逃す危険性があります。

この場合する検査は、先ず造影CT検査であり、診断がつけば血管造影を行い、速やかにIVR治療の適応になります。

これらの病気の治療は正に時間との勝負です。

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