新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

十二指腸潰瘍 1 はじめに

十二指腸とは胃から出てすぐ、小腸までの間の鉤型をした腸管のことを言います。

十二指腸は胃から出たすぐのところを球部、胆管や膵管が合流する場所(乳頭部)、小腸までの部位を水平部と言います。

十二指腸は短い腸管ですが、近くに膵臓があり、胆管や膵管が合流する非常にデリケートで大事な臓器です。

この十二指腸の球部は潰瘍の好発部位です。

* 球部より肛門側に潰瘍ができることもあり、この場合、治癒しにくい傾向があります

(post bulber duodenal ulcer)

十二指腸潰瘍はピロリ菌感染との強い相関があり、またストレス(特に身体的)や喫煙との関連性も見られます (十二指腸の粘膜にはびらんや炎症が見られますが、ピロリ菌感染がある場合、潰瘍が生じて悪くなることがあります)

* 私の経験では、高齢の方に何かトラブルがあって強いストレスがあった場合、十二指腸潰瘍になりやすい感じがします(若い男子でもやっぱり見られますが) 高齢者の場合、症状に乏しく、いきなりタール便が出て、急激に貧血が進むことがあるので要注意です

十二指腸の球部は胃で消化された食べ物と胃液が流れ込みます。

十二指腸の下降脚以降では、胆汁と膵液が混ざって酸性が中和されますが、球部では直接胃液の障害を受ける可能性も伺われます。

治療に関しては胃潰瘍と同じように制酸剤(主にプロトンポンプ阻害薬)を用い、ピロリ菌感染がある場合は除菌療法を施行します。

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