腹痛診療7 上腹部痛の鑑別診断
お腹の上の方が痛くなる病気の診断についてまとめてみたいと思います。
先ずみぞおち(心カ部痛)が痛くなる病気として
代表的なものとしては、食道や胃、十二指腸などの上部消化管に関連する病気(逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など) などが挙げられます。このような病気を考える時には痛くなる時期や食事との関連性のなどのチェックが必要になります。
# 胃潰瘍や十二指腸潰瘍が穿孔した(孔が空いた状態)場合は胃液が腹腔に漏れ、腹膜炎を起こしてしまうので、持続的で激烈な痛みが生じます。
また消化器関連の疾患を挙げると、胆嚢炎や胆管炎、そして膵炎などの病気が鑑別診断に挙げられます。
胆嚢炎は右上腹部痛ですが、左肩に抜ける放散痛のような症状が見られます。
また胆管炎に関しては得もしれぬ不快な痛みを訴えられることがあります。また膵炎は病状により痛みの程度は違いますがかなり強い痛みが見られます。
これらが消化器に関する上腹部痛を引き起こす病気なのですが、主に上腹部臓器のトラブルの場合、患者さんはお臍の周りがなんか痛いという訴えが見られます。これは上腹部内蔵臓器の深部知覚神経支配が腹腔神経から来ていることにその理由があります(因みに虫垂炎の初期症状でも、やはりお臍の周りの痛みが見られます)
あと心カ部痛の場合、忘れてはならないことが心筋梗塞や腹部大動脈瘤などの心臓血管系の病気です。
これらのように上腹部痛だけでもいくつの病気を考えなければなりません、