胃潰瘍、十二指腸潰瘍治療の歴史
昔から胃潰瘍や十二指腸潰瘍は人の上部消化管に見られる病気であった。
胃や十二指腸は食べ物を溶かす胃酸や消化酵素に暴露され、ダメージを受けやすい場所と言える。しかし人の身体は絶妙なバランスで、自分の粘膜を傷めないように自己防御システムを維持している。しかし、このバランスが崩れてしまうと炎症や潰瘍が生じる。
その症状については
○ 食欲不振 吐き気 上腹部痛などが見られる
〜 空腹時もしくは食後など、痛みが起きるタイミングやその強さは潰瘍の場所や程度によって違う。
昔はそのはっきりとした原因も、いい薬もなかったため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が治らず、軽快増悪を繰り返し、徐々に悪くなっていくケースも見受けられた
昔の治療としては
○ 一般的な胃薬 粘膜防御剤の服用
○ ひどくなると外科手術が検討された
単純胃切除や迷走神経切断術や幽門形成術など
の外科手術が行われた。
*胃潰瘍や十二指腸潰瘍が酷くなって穿孔したら当然緊急手術になっただろう。
しかし胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療はその病態の解明と治療の発展により大きく進歩した
今では胃潰瘍で外科手術を受ける症例はかなり少なくなったと思われる
それでは何が分かって、何が変わったのだろうか?
○ それは先ずひとつに胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こす原因としてピロリ菌感染が関与していることが分かったこと。
ピロリ菌がいると胃潰瘍や十二指腸潰瘍は悪くなりやすい。だからこそ、ピロリ菌の除菌治療が強く勧められる。
○ そしてもう一つは胃酸の分泌をしっかり抑えられる薬が開発されたことである
H2ブロッカーやPPIと言う強い制酸剤が使用されるようになって胃潰瘍や十二指腸潰瘍は薬でよくなるようになったのである。
*今では胃潰瘍や十二指腸潰瘍が穿孔した場合でも軽傷であれば胃管を入れて制酸剤を使用することによって手術をしなくても良いケースもある。
このように医学の発展によって胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療は劇的に進歩した。
しかし人間の身体の作りや働きは特段変わったわけではない。ストレスなどで体調を崩すと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が生じる可能性がある。
だからこそ日頃の生活に気をつけて、何か症状が続く場合には胃や十二指腸そしてピロリ菌感染の有無のチェックをすることが必要と思われる。