新宿NSビルスカイクリニック

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大腸 11. ビフィズス菌

ビフィズス菌は一部のヨーグルトを作る際に使われる比較的馴染みのある細菌です。

ビフィズス菌は私達の腸の中にもたくさん生息しています。

ビフィズス菌はよく善玉菌と言われていますが

その具体的な働きについてはよくわからないことも少なくありません。

それでは具体的にその性質について見ていきましょう。

ビフィズス菌は全ての動物の腸内に生息し、人間の腸管にはB. bifidum、B. breve、B. infantis (B. longumsubsp. infantis に再分類)、B. longum、B. adolescentisの5種が棲息しています。

特に母乳栄養の糞便に多く存在していて、正常な母乳栄養児の腸内細菌叢はビフィズス菌が極めて優勢になっています(腸内のビフィズス菌の生息に母乳に含まれる乳糖やオリゴ糖などが有効なことがわかっています)

ビフィズス菌は、糖を分解して乳酸、酢酸を作るヘテロ乳酸菌の仲間です

ビフィズス菌は、乳糖やオリゴ糖などを分解して乳酸や酢酸を産生して腸内のpHを顕著に低下させ、善玉菌として腸内の環境を整えるほか、花粉症などアレルギー症状の緩和にも貢献していることが分かってきました。乳幼児に多いロタウイルスによる感染性腸炎の抑制をする可能性が報告されています

ビフィズス菌は、パントテン酸(B5)をそのまま利用できずパンテチンを必要とし、また、リボフラビン(B2)を必要とするとされます。ビフィズス菌(B. infantis、B. breve、B. bifidum、B. longum及びB. adolescentisのすべて)で菌体内にビタミンB1、B2、B6、B12、C、ニコチン酸(B3)、葉酸(B9)及びビオチン(B7)を蓄積し、菌体外にはビタミンB6、B12及び葉酸を産生します。ヒト(成人)の腸内の平均量のビフィズス菌の推定ビタミン産生量はビタミンB2、B6、B12、Cおよび葉酸で所要量の14-38%を占め無視できない割合と考えられています。ただしビタミンB12だけについては、内因子と結びついたビタミンB12が吸収される回腸の部位からさらに遠位の大腸でビタミンB12が産生されているので、ヒトは大腸で作られたビタミンB12を十分に吸収することができません。
ビフィズス菌のまとめ

○ 腸内細菌の大事なグループであり、乳幼児は非常に多く活動していて、加齢と共に減少する傾向がある

○ 乳酸や酢酸を生成し、周囲を弱酸性の環境にして、他の細菌が増えないようにしている

○ 細菌の活動により、私達の生命活動に重要なビタミンB2 B6 B12 葉酸のかなりの割合を産生してくれている

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