風邪を診る⑦ 新型コロナの臨床検査
前述したように風邪は一般的には自然に治癒する病気ですが、今、大きな社会問題となっている新型コロナウィルス感染症も症状だけでは区別がつかないことがあります。そのため診断をつけるために検査が必要な場合が出てきます。
では具体的にどのような検査があるのでしょうか?その内容についてご紹介します。
【新型コロナウィルス感染症に関する検査】
☆ 抗原、PCR検査について
・ 検体: 鼻腔咽頭ぬぐい液 (唾液からでもわかるものもありますが、基本、鼻腔・咽頭からの検体採取が推進されています)
○ 抗原検査
これはウィルスの成分(タンパク質)を検出する検査です。定性検査の場合、簡易キットがあり容易に検査可能ですが、ウィルス量が少ないと反応しなかったり(偽陰性)、ウィルスがなくても反応してしまったり(偽陽性)する問題がありますが、現在、免疫学的手法にて、抗原量を測定する検査(定量法)が開発され、短時間でPCRテストにより近い精度の検査ができるようになっているみたいです。
○ PCR検査
今ではすっかり周知の検査となりました。これは検体の成分を処理して、その中に新型コロナウィルスの遺伝子成分があるどうかを調べる検査です。分子遺伝学的な手法にて、そこに含まれている遺伝子を増幅させ、ターゲットとする遺伝子成分があるかないかを判定します。
あればアリだし、なければナシという白黒はっきりした検査です。
しかし手間やコストがかかり、またターゲットとするウィルスが混入してしまうことなどにも注意が必要です。
つまり簡単にはできる検査でないことはよくわかります。
○ 抗体検査 (IgM IgG)
検体: 血液
これには簡易的な定性キットがあり、被験者の血液を採取し、薬液と反応させ、キットを使うと自分の体内に新型コロナウィルスに反応する抗体があるか、ないかを判定する検査です。
IgMとIgGという2種類の抗体をチェックし、IgMは抗原が体内に入って数日で作られ、IgGは
その後に作られる抗体です。
IgMが陽性と言うことは最近ウィルスに感染した可能性があり、またIgGのみが陽性の場合は、昔、抗原が体内に入ったことがある(既感染、免疫がある状態)を表しています。
このように、そのケースと目的によって行う検査が異なってきます。