新宿NSビルスカイクリニック

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風邪を診る⑤ 風邪と細菌感染症の違い

皆さんもご存知のように風邪はウィルスの感染によって引き起こされる上気道炎です。

しかしその中には細菌によって発症する呼吸器感染症との鑑別が必要な場合があります。

確かにレントゲンを撮ったり、血液検査をしたり、痰を顕微鏡で観察したりすれば、より診断は確かになりますが、患者さんの症状からだけでも見分けがつくキッカケになります。

細菌感染は細菌(単細胞)と言う病原体がある特定の場所(臓器)に感染して増殖し、炎症を引き起こすので、初期には症状が限定されます。

しかし風邪の場合、ウィルス感染によって引き起こされる炎症ですから、比較的早期からいろんな症状が同時期に見られます。

その代表的な症状が

具体的なことを言えば、⑴ 咳 ⑵鼻 ⑶喉  (発熱)などが典型的な風邪症状と言えるでしょう。

“3症状チェック”での注意事項。

⑴ 咳 : 具体的にどのような咳なのか?咳はいつでるのか? 元々喘息やアレルギーはないか?

⑵ 喉 : かぜにより起こるのどの痛みの特徴は「嚥下痛」ここでは、「典型的かぜ型」の3症状を医療者に伝えるときに、患者側と医療者がどのようなことに気をつけるべきかをお伝えします。たとえば、のどの痛みひとつに着目してみても、どのような時に痛むのか、どのような痛みなのかという感じ方は人によって異なります。食べ物やつばを飲み込むと痛い/咳をすると痛い/首の辺りを押すと痛い/何もしなくても痛い、などでは伝え方も異なります。

かぜで生じるのどの痛みは、原則として「嚥下痛」(飲み込むときの痛み)です。そのため、医療者は喉が痛いという患者さんからは、嚥下痛があるかどうかを必ず聞かなければならないのです。そして、「食べ物やつばを飲み込むと痛いですか?」という質問に対して、患者が「いいえ、痛くないです」と答えた場合は、かぜではないのではないかと判断します。

「痰が出る」という訴えも鼻の症状に含まれることもあります。

⑶ 鼻 : 鼻水が出ることについては、どう伝えるのがよいでしょうか。たとえば、鼻水が垂れて仕方がない・鼻水がつまっているなどがあります。これらの症状は、誰でも鼻が原因であることがわかります。しかし、鼻水の症状はそれほどなく、痰が出るということがあります。この痰こそが実は鼻水であることが多いのです。

痰と鼻水が一緒とはどういうことなのだろう、と疑問に感じる方も多いでしょう。のどと鼻はつながっており、鼻水が前へと流れると鼻から出てくることになり、後ろに流れるとのどから出ていくことになります。痰とは、「咳とともに分泌される分泌物で鼻水は除く」というのが定義で、原則上気道ではなく肺などの下気道からでてくるものをさします。しかし、喉に落ち込んできた鼻水も咳をして出すことになり、痰(下気道からの分泌物)とごちゃごちゃになってしまっています。

このような理由から、医療者は痰と鼻水を見分けることができるようにならなくてはいけません。ではどのように見分けたらよいのでしょうか? ここを見極めるポイントとして医師は、「その痰はのどに引っかかって取れないような感じですか?」、「飲み込みたくなる感じですか?」といった質問をします。もしこの質問に「はい」と答えるならば、それは痰ではなく鼻水でしょう。つまり医師は、痰と言う訴えにまぎれた、かぜの症状である鼻水を見逃さないようにしているのです。

このように「典型的かぜ」の3つの症状についても、それぞれの症例によって違いがあるため、医師がポイントを絞って患者さんに詳しく聞く必要があります。

 

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