新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

逆流性食道炎④ 逆流性食道炎の原因・病態について

逆流性食道炎はお医者さんなら誰しも知っているような一般的な病気です。

教科書やネットを見ると、その病気の原因や病態について書かれていますがもう一つすっきりしません。改めて自分の経験を通してまとめてみたいと思います。

逆流性食道炎は言うまでもなく、食道への胃液が逆流することによって食道粘膜が障害を受ける病気です。

(胃袋は胃酸や消化酵素を産生し、お肉や野菜などの食べ物を消化する機能を持っています。またその胃液がちゃんと自分自身の食道や胃や腸を傷つけないようにしているのですから、生体の働きには驚きと言うしかありません)

ではなぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか?

胃液は胃が分泌する胃酸(かなり強い酸性pH1.0〜1.5)とペプシノーゲンのような消化酵素と自己の粘膜を守るための粘液が含まれています (胃はこの粘液の為に自分自身を溶かさないように自己を防御していますが、食道粘膜はそれほど粘液を産生しておらず、 この酸性の胃液が食道に逆流することで食道粘膜が損傷されてします)

その原因としては、

1.胃酸の分泌調整の乱れと

2.食道に胃酸が逆流してしまう消化管の動きや構造上の問題があるのではないかと考えています。

1. 胃酸は胃粘膜の碧細胞から作られ、胃に食べ物が入ると盛んに分泌されるようになります。

胃カメラをしている時にもシャワーのように胃酸が分泌される様子が観察されます。

胃酸は、胃の中に食べ物が入ってきた時の物理的刺激と自立神経の働きによって分泌されています。何かしらの要因で胃酸分泌が亢進してしまうとのべつ間も無く胃酸が上がってきてしまう可能性があります。

*以前の私のように、食習慣に乱れがあり、食べたい時に、炭水化物や油物などを多く取り、栄養素的にもバランスを考えない食事 (特に野菜不足)をガッツリ食べて、睡眠をはじめ生活リズムが乱れているような状態では、おそらく自立神経の調整もままならず、胃酸分泌の調整もおかしくなっていたことでしょう((お腹が空いてカレーライス🍛などをよく噛まないでたらふく食べた後などは、しばらく胸焼けが止まらず大変でした)

そして

2.構造上の問題、私は胃カメラで食道から胃に入るところの緊張が低く、胃がやや縦隔に脱出しているような状態でした (私の場合、これも食事の時に、いつも急いでロクに噛まないで食べ物をかき込むような食事をしていて、これが、この括約筋を痛める原因になったのではないかと考えています)

このような状態でお腹いっぱいご飯を食べて、胃の中に食べ物や胃酸を含む胃液が分泌された状態で、横になったり、ゲップをしたりすると、胃の内容物がすぐに食道に上がってくるような状態だったのではないかと思われます。

*因みに腹圧を強くかけるだけでも、この逆流防御機構が弱い人は胃液の逆流や縦隔への胃粘膜の脱出が見られます。

まとめてみると、この病気(症状)を引き起こす要因として

1.胃酸が逆流しやすい構造になっている

2.胃をはじめとして消化管の動きが乱れている

3.胃酸分泌が異常に亢進している

ことが挙げられます。

つまり、逆流性食道炎の多くは、その背景に食をはじめとする生活習慣の乱れが原因になっている可能性が強く伺われます。

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