新型コロナウィルス感染症を重症化させないようにするためには

新型コロナウィルス感染症は単なる風邪ではありません。その一部は重症肺炎やサイトカインストームなどを引き起こし治療が極めて難しくなるケースが見られます。

先日、国の統計(HER SYS)から重症化する人に見られる背景やその危険要因が報告されました

https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2021/010393.php

先ずその一つ目が年齢です。高齢の方、特に65歳以上の方は重症化する傾向が見られます。

次に肥満が挙げられます。BMI (身長体重比)が30以上の人は新型コロナウィルスに感染すると重症化するリスクが上昇します。

また基礎疾患として慢性腎臓病や慢性閉塞性呼吸疾患、心血管疾患、癌などがあると重症化する可能性が高くなります。

その他、糖尿病や高脂血症や高血圧症などの成人病もリスクファクターになります。

この理由についてはまだはっきりとしたことは解明されていませんが、私の私見では、ひとつ目にマクロレベルで言うと身体の臓器の予備機能にあるのではないかと思います。私達の身体はいくつかの臓器が生命を保つのにバランスを取って絶え間なく活動をしています。また体内の臓器は何かあっても、それに応じて対応できるように余力を持っています(通常それらの多くは機能が半分くらいに落ちていても普段症状には現れません)しかしこれらの臓器のどこかに傷みがあって弱ってしまっていると、いざ大きなトラブルがあると代償が効かず、臓器不全を起こしてしまいます。もし重要な臓器がいくつか機能不全になると生命は維持できません。

次にミクロレベルで言うと体内における慢性炎症の関与が疑われます。肥満やメタボなどにおいては、血管や肝臓などいろんなところの組織に障害を起こします。そうするとその場所では、常に炎症や修復機能が働くことになります

(非アルコール性肝炎がいい例です)まだそのキーとなる具体的なカスケードは分かりませんが、このような状態においては新型コロナウィルスが体内に侵入した時、何かしらの強い炎症反応(サイトカインリアクション)が生じるのではないかと考えています。

だからこそ私達が新型コロナウィルスに感染した場合、重症化しないようにするためには、日頃から身体のあらゆる臓器を使って鍛えて、メタボにならないように、体内をクリーンアップすることが一番の予防になるのではないでしょうか？

私達のクリニックでは、そんなメタボ対策診療も進めて参りたいと思います。