胃がん 10 外科根治手術 en block 切除について
私が外科診療をしていた時に学んだ外科根治手術の考え方についてご紹介します。
前回も書きましたが、外科手術は悪い病巣を綺麗に取り去る治療法です。
そこにおいてはまず癌が局所に収まっているか?ということがポイントになります。
胃は中腸から発生した袋状の臓器ですが、発生の段階で回転したり捻れたりしながら周囲の臓器とくっついて存在しています(胃の周りには腸管や膵臓や脾臓を含む6層の間膜が存在します)
根治的外科手術をする際においては、癌の場所と広がりを把握した上で切除範囲とがんが飛び火するリンパ節の廓清範囲を決めて取り掛かります。
上で述べたように胃の周りの構造(間膜)を理解した上で層を意識しながらバラしていきます。
胃から流出する静脈や胃に入っていく動脈やリンパ管、リンパ節もその間膜内に走行しています。
そして胃全体を手の中に入れるようになってから、静脈を縛り、胃から出る動脈の根元を結紮し、山崩しをするように胃から出るリンパ節を廓清していきます。
この作業を丁寧にひとつひとつ進めていきます。胃がんの手術はつついて切り取る手術ではありません。丁寧にholeで取り込むように切除する手術です。これがen block切除術と記憶しています (下手にぐちゃぐちゃにつつくと癌が残り、播種してしまう恐れがあります)
*切除して後はどう繋ぐのか?その状況によって繋ぐ方法(再建法)が変わります
胃が残っている場合ダイレクト残胃と十二指腸を繋ぐのか?(B-Ⅰ再建) か小腸と側々で繋ぐのか?(B-Ⅱ再建)、小腸を吊り上げて繋ぐのか?(R-Y再建)また胃を全部切除した場合は概ねR-Y再建になるかと思います。