新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

診療内容 1.

食道がんは食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。食道がんには主に扁平上皮癌と腺癌の二つのタイプのがんがあります。扁平上皮癌は食道本来の粘膜である扁平上皮から発生します。わが国では食道がんの90%は扁平上皮癌です。一方、腺癌は胃酸が食道に逆流することによって起こる逆流性食道炎を背景として起こることが多く、欧米では食道がんの半数以上を占めています。近年、食生活の欧米化や肥満の増加に伴い、わが国でも食道腺癌が増加傾向にあります。食道がんの危険因子は扁平上皮癌と腺癌で異なります(表1)。扁平上皮癌は主に飲酒と喫煙が危険因子です。飲酒と喫煙の両方があるとさらにリスクが高まります。近年、お酒を飲むと顔が赤くなる体質の方が飲酒を続けると、食道がんや頭頸部がんのリスクが高いことが明らかとなりました。一方、食道腺癌の危険因子は食道胃逆流症とそれに伴って起こってくるバレット食道という変化です。肥満や喫煙、欧米型の食生活は逆流性食道炎や食道の慢性的な炎症を引き起こし、食道腺癌の原因となります。近年、食道腺癌が増加傾向にあります(図2)。表1に赤で示した生活習慣や体質、症状のある方には内視鏡検査をお勧めします。バリウムによる胃がん検診では食道癌の発見は困難です。