新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

化学療法に関しての考え方

化学療法の専門家の先生方からすれば至って当たり前の事でしょうが、改めて化学療法を施行する際に考慮すべきことについて考えてみました。

私が着眼する点として、先ず最初に 1. 癌腫のタイプ (病理学的組織型) と進行度(浸潤、転移、播種の状況) 次に 2. 癌と宿主の反応 (炎症や免疫反応)、 最後に 3. 宿主のコンディション(全身状態) があります。

皆さんもご存知のように癌腫には抗ガン剤がよく効くタイプと効かないタイプがあります。また当然、その進行度によっても、化学療法の適応とプロトコールは大きく変わります。同じ消化管の癌であっても、扁平上皮癌が多い食道癌は放射線化学療法が効果的ですが、スキルス癌をはじめとする胃がんには全く効きにくい印象があります。また次にその癌腫と宿主のinteractionにも注意が必要でしょう (ただ現時点で、腫瘍と免疫の関係はまだ基礎研究や臨床の現場においては確立されたものはないように思われます。そして最後に、患者さんの状態、これは、元気度、栄養状態、その他の各臓器機能に関してのことです。抗ガン剤は多かれ少なかれ正常機能にもダメージを与えてしまうので、化学療法のさじ加減は非常に重要だと思います。

本来はもっと細かに患者さんの個別の状態に合わせ、微妙な調整がいると思いますが、実際は化学療法はほぼ決められたプロトコールで行なわれることが多いようにも伺われます。これはどうしても、抗ガン剤な大規模スタディの結果からは逸脱しにくい事情があるように思われます