新宿NSビルスカイクリニック

医学に基づいて食を中心として日々の生活から健康を考えるブログ

メディカルダイエット

< Medical Diet Methods >

クリニックにおける医療ダイエット療法のキモ

ヒトは元来太っていたわけではない。多くの場合、肥満やメタボリックシンドロームの状態になるにはその理由と背景がある。その最大の要因は食である。食は人の活動のエネルギー源であり、人体を構築する素材であるが、習慣的な食事は人の体質に大きな影響を及ぼす。

・過剰なカロリー摂取(特に糖質摂取)は体内に脂肪を蓄積させる。その状態が続くと肝臓を始めとして体内の栄養代謝に働きに支障を来たし、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を引き起こすことが示唆されている。また様々な生活習慣病動脈硬化や慢性腎臓病など身体に大きなダメージを与える深刻な病気を発症するリスク要因になる

 

それではどうしたら、体質を改善し、健康な状態に戻ることができるのだろうか?

 

確かに生活習慣の見直しがダイエットの本質であるが、私の経験から鑑みて通常の生活や生活指導だけで肥満やメタボの多くの方がダイエット(体重減少)を成功させることはたやすいことではない。その理由は、その人自身が悪いわけではなく、生物が今の状態を維持するように働く生命の本質(恒常性)があるため、その個人が自制心のみで日々の生活習慣を持続的に変えることは難しい。

それ故に私達は身体の生理機構に基づき、代謝に影響を与える薬剤を用いたダイエットメソッドを実施している。その概要について下記にまとめてみた。

 

<キーポイント 其の1 ダイエットに対する動機や意思>

ダイエットに関しては自分が痩せたい!変わりたい!という意思がなければ成功しない。何事にもそうだが実行と継続がダイエットには必要不可欠である。

私は1ヶ月の継続実施が体質を変え、それを3か月継続することにより確実に体格が変化すると考えている

<キーポイント 其の2 食事指導>

体質改善のための食事指導;これが健康ダイエットの根幹である

前にも述べたが私達の身体は私達の食べたものからできている。肥満やメタボの原因は誤った食習慣にあることを先ず確認しなければならない(自分の食事を見直すことがファーストステップである)

・自分が食べる物のエネルギー量(総カロリー) 糖質 脂質 タンパク質 食物繊維などの摂取量をチェックし、意識することが重要である(もし本人が意識できない場合周りからのサポートが必要になる)

*因みに厳格な食事療法を継続的に3か月実行すればそれだけで体質が変わり、体格を変化させることが可能である

またいくら栄養のお話を細かくしても実際、何を食べたらいいのか?そのメニューについても具体的に紹介しなければならないだろう

(→ 食事指導の内容詳細は後述する)

 

<キーポイント 其の3 薬物療法

生活習慣病の薬剤のいくつかには生体の代謝に影響を及ぼすものがある。前述したように乱れた食習慣を自分の意思で継続的に変え、体質を変えることは容易ではない。そのため、薬剤を使用して、ヒトの体質に変化を与え、ダイエットに効果をもたらすことを考えている。

 

① GLP1;私達がダイエットに効果のある薬剤としてGLP1が挙げられる

GLP1は糖尿病の治療薬として用いられている薬であるが、それは私達が食べ物を食べた後に小腸から分泌される消化管ホルモンの一つである。この薬剤の主な作用は食欲のブレーキ(消化管の運動抑制や満腹感)と糖代謝の改善(血糖を下げる作用があるが、生体内には下がりすぎないように血糖を自己調節する機構がある)また今日、その他に脂質代謝の改善や臓器保護などの働きがあることが示唆されている。GLP1には内服薬(リベルサス)と注射薬(オゼンピック)があり、この薬剤を使用することによって、食欲を抑え、体重減少に寄与することが言われている。しかしあくまでGLP1は薬剤でありその副作用も懸念されるためその適応や使用方法には十分な注意が必要である。

② コレバイン:この薬剤は高コレステロール血症の治療薬の一つである。コレバインは脂質(コレステロールを含む胆汁酸)の吸着剤である。この薬剤を内服することによって、脂質の排泄を促すのと共に、腸内細菌の細菌叢に変化を与え体重減少に寄与する可能性が示唆されている

 

<キーポイント 其の4 腸内環境改善>

以前より、肥満やメタボの背景に腸内細菌が関与している可能性が示唆されている。この件に関してはまだ確固たる科学的根拠に乏しいが、ある年齢以上の人や便秘がある人は、下剤を用いて一度、腸内洗浄をして腸内細菌の状態をリセットすることもダイエット療法の一つとして検討している

 

<キーポイント 其の5 アフターケア>

私達のダイエット療法の最も大事なポイントは継続的なアフターケアである。人が体質を変え、体格を変化させていく過程においてはその時々の状態観察とアドバイス並びダイエット方法の健康、調節が必要である。まして薬剤を使用する場合、ダイエットにおける弊害(健康トラブル)にも十分、注意を払わなければならない。