採血
血液検査は血液中の細胞や成分(様々なタンパク質や糖質や脂質やミネラル)そして、代謝や炎症や免疫などに関わる様々な物質の濃度や量を調べる大事な検査です。
採血をする際においと意識すべきことは何の目的で何を調べるために血液検査をするのか?と言うことです。
正しい血液検査をするためには、いい状態の血液を採取しなくてはなりません。血液は血管外に出るとすぐに固まってしまうし、状態によっては血液内の細胞が壊れて正確な値ではなくなります(溶血)
採血は針を刺すと言う痛みを伴う処置ですから、基本的にミスは許されません。医療者は如何に患者さんに痛みやストレスを感じさせずに、スピーディにいい検体を採取する必要があります。
それではその採血の手技におけるポイントをご紹介しましょう。
採血を成功させるためには、先ず
① 気持ちを落ち着けマインドセットすることが大事です。どのような技術もそうですが、不安や迷いがあったり、いらいらバタバタしている時には手先が定まらず、ミスを生じます。次には
②採血にいい血管を探し、穿刺するポイントを決めることが必要です。
通常肘にある正肘皮静脈から採血しますが、そこにいい血管がない場合もあります。
その場合、できるだけ取りやすく、またできたら痛くないいい血管を探す必要があります。そして更に刺しやすく、しっかりと血管の内腔を捉えるために
③縛る、暖める、絞る などの工夫も有効です
静脈は暖め、駆血することで血流が増し、鬱血させることで静脈が拡張します。
更に四肢を縛り、抹消からしごきあげると静脈の径はかなり太くなります。
そして穿刺する時には
④人の身体の解剖と針の構造を知り、ミクロで血管を捉えるイメージが大事です(正に針先に目がついている感じ)
血管を刺す前に、皮膚の状態、皮下静脈の走行、太さ、またその場所(深さ)をよりリアルに把握する必要があります。
また針の先端はどうなっているのか?その構造と特性も重要です。針が刺さるのはその最先端の部位だけです。
採血を成功させるためには血管の壁は傷つけずに針のベーベルを血管の中にしっかり入れ込まなけれぱなりません。そして
⑤実際の穿刺です。
針は真っ直ぐな為、一度刺したら方向を転換することはできません。
ですから 針の先端が血管のど真ん中をしっかり捉えられるように、どの場所に、どのくらいの深さに、どんな血管があるのか?をイメージしながら針先を進めます。
先端が血管に到達したら、針を血管内にわずかに進めるようにします。この時、針先が血管を傷つけないように注意しなければなりません(また逆に日和って針が十分に血管内腔に入っていなければ血液がよく吸えません)
このように採血一つとってもその背景にはいろんなコツがあります。
たかが採血、されど採血。
医療者に言い訳は許されません。